「歯医者に行くと、いつも虫歯があると言われるんです」
診療をしていると、
そんなお声をいただくことがあります。
「歯みがきはしているのに、すぐ虫歯ができてしまって」
「どうして、こんなに虫歯ができるんでしょうか」
検診の時。
レントゲンを撮った時。
久しぶりに来院された時。
お口の中に虫歯が見つかったことをお伝えすると、
落胆される方は、少なくありません。
でも――
虫歯ができる理由がわかれば、繰り返さないための手立ては見えてきます。
――広島県安芸郡府中町にある新生歯科医院、院長の河本です。
今日は、
そもそも虫歯はどうやってできるのか。
そして、治療を繰り返さないために何ができるのか。
そんなお話です。
「自分には虫歯はないだろう」と思っていた方ほど、驚かれます
虫歯は、
かなり大きくなるまで痛みが出ないことも多い病気です。
だから気づきにくく、
「自分に虫歯はないだろう」
と思っていらっしゃる方は、とても多いのです。
いざ歯科医院に来てみたら、虫歯があると言われる。
想定外のことに、驚きが隠せない。
そんな場面を、私は何度も見てきました。
このあたりのことは、
以前の「いつの間にかできてしまう虫歯」や
「痛くなった時は、もう遅いかもしれません」でもお話ししてきたとおりです。
それにしても、どうしてそんなに虫歯ができるのでしょうか
「歯みがきもしているし、
おやつも、そこまでたくさん食べていない。
理由が思い当たらないんです」
そう言われる方も、とても多いです。
では、
そもそも虫歯はどうやってできるのか。
ご存じでしょうか。
虫歯という病気は、
残念ながら、珍しいものではありません。
でも、
実際にどんな病気なのかまで知っている方は、意外と少ないように思います。
原因がわかれば、
繰り返すことを防げるのではないでしょうか。
虫歯は、菌が出す酸で歯が溶ける病気です
虫歯は、簡単に言うと、
虫歯菌が出す酸で歯が溶ける病気です。
虫歯菌は、
お口の中にある砂糖をエサにして、酸を出します。
ただし、
歯があっという間に溶けていくわけではありません。
唾液に含まれるカルシウムやリン、
あるいは歯みがき粉などに含まれるフッ素のはたらきで、
溶けはじめた部分は修復もされています。
(歯の再石灰化といいます)
この修復が追いつかない勢いで歯が溶けてしまう時に、
虫歯は進んでいってしまうのです。
疲れていて、夜の歯みがきをせずに寝てしまった。
そんな日が一日あったからといって、
いきなり治療が必要なほどの虫歯ができるわけではありません。
日々の習慣の積み重ねで、少しずつ溶け続けたところに、穴があいてしまうのです。
虫歯には、四つの原因が重なっています
歯科の教科書では、
虫歯が発生する四つの要素として、こう挙げられています。
・① 細菌
・② 糖分
・③ 歯質
・④ 時間

この四つの条件が重なるほど、
虫歯は進んでいきます。
そして四つは、
互いに影響し合ってリスクを高めていきます。
だからこそ、
一つずつ対策して影響を弱めていけば、
虫歯はできにくくなるのです。
では、一つずつ見ていきましょう。
① 細菌 ―「磨き残し」の正体は、菌のかたまりです
まず、①細菌について。
これは、先にお話しした、
歯を溶かす酸を出す菌のことです。
そもそも誰のお口の中にも、
実にたくさんの種類の細菌が、無数に存在しています。
これを全てなくすことは、まず不可能です。
しかし、
細菌がなるべく増えないようにすることはできます。
細菌が増えやすい場所を、取り除けばいいのです。
それこそが、
俗に「磨き残し」と言われることの多い「プラーク」です。
プラークとは、正確に言うと、細菌のかたまりです。
食べ物の糖分を栄養にしてねばねばした物質を出し、
歯の表面にくっついて、どんどん増えていきます。
うがいでは取れません。
歯ブラシなどで、こすり取らなければならないのです。
だから、
歯みがきでプラークを残さないことが大事なのです。
② 糖分 ―「甘いものは虫歯になる」と言われる理由
次に、②糖分です。
いわゆる、食べ物に含まれる糖分のことです。
先ほどからお話ししているとおり、
これが虫歯の原因になる細菌のエサになります。
一言で糖分といっても、いろいろな種類があります。
その中でも、
特にプラークの材料になりやすいのが、ショ糖(砂糖)です。
これが、
「甘いものを食べると虫歯になる」
と言われる理由です。
お菓子のほか、
甘い飲み物にも注意が必要です。
③ 歯質 ―「歯が弱いから」で終わらせません
続いて、③歯質です。
これは、少しイメージがしづらいかもしれません。
歯質とは、ここでは歯の質のことを指しています。
たとえば、
・お口の中に見えている歯の頭の部分よりも、歯ぐきより下にある歯の根の部分の方が虫歯になりやすい
・乳歯や、生えたばかりの永久歯はやわらかく、酸にやられやすい
・時々、歯ができる過程でしっかり硬くならないまま生えてくる歯がある
たしかに、歯にも強い弱いがあります。
個人差もあります。
ただ、
弱いから仕方がない、ということはありません。
弱い部分がどこなのかを把握して、
しっかりケアをすれば、守ってあげることができます。
④ 時間 ―「だらだら食い」が、いちばん見落とされます
最後に、④時間です。
これは、
歯が酸に溶かされる時間を指します。
長い時間、酸にさらされるほど歯は溶けてしまい、
再石灰化で硬くなるタイミングを失います。
飲食をすると、
細菌が出す酸によって、お口の中は酸性になります。
しかし、
時間が経てば、唾液の力で中性に戻っていきます。
ここで、
次々に食べ物がお口に入るとどうなるでしょうか。
中性に戻すことができず、
酸性の状態が続いてしまいます。
そうすると再石灰化が働きにくくなり、
歯は溶ける方向に進んでしまうのです。
つまり、
ずっと食べたり飲んだりしている「だらだら食い」が、虫歯の原因になってしまうのです。
一つだけ頑張っても、効果が薄いことがあります
いかがでしょうか。
なぜ虫歯ができるのか、
少しイメージができたでしょうか。
四つの要素は、
どれも、どこかで聞いたことのある話だと思います。
これらすべてに気を付けることができるのが、
一番の虫歯予防です。
ただ、
最初から完璧にできなくても構いません。
できそうなことから、
少しずつ習慣を変えていくことが大切です。
そして、
四つの要素は互いに影響し合っているので、
どれか一つを対策しても効果が薄いことがあります。
たとえば、
どんなに歯みがきをがんばっていても、
だらだら食いがやめられなければ、虫歯はできやすいままです。
逆に言えば、
どうしても改善が難しいものがあったとしても、
他の部分に気を付けることで、それをカバーすることは可能です。
よく、
「歯が弱いので、虫歯がすぐできるんです」
と言われることがあります。
たしかに、それはあるかもしれません。
それでも、
糸ようじや歯間ブラシを使って念入りに歯みがきをし、
食習慣に気を付けることで、
虫歯のリスクは大きく下げることができます。
今日からできる、四つの対策
虫歯の治療を繰り返さないために。
虫歯の成り立ちから考えた対策を、まとめます。
① プラーク(細菌のかたまり)を残さない
糸ようじや歯間ブラシも使いながら歯みがきをする。
ご自身で磨きにくいところは、定期検診で取ってもらう。
② 糖分を摂りすぎない
虫歯菌のエサになる糖分を含む、甘いお菓子や飲み物を控える。
③ 歯質の弱いところをカバーする
フッ素入りの歯みがき粉や、歯科医院でのフッ素塗布。
唾液が出やすくなるマッサージなども役に立ちます。
④ お口の中に糖分がない時間を作る
歯が酸で溶かされ続けないように、だらだら食い・だらだら飲みをしない。
この中から、
「これなら自分もできそうかな」
というものを探してみてください。
きっと、
虫歯の治療のループから抜け出す第一歩になると思います。
最後に
治療を繰り返してしまう人と、繰り返さない人。
その違いは、
生まれつきの歯の強さだけで決まるものではありません。
毎日の歯みがき。
食べ方、飲み方。
そして、
定期的にお口の中を確認すること。
一つひとつは、
とても小さなことです。
でも、
その積み重ねが、数年後のお口の中を変えていきます。

具体的にどうすればいいのかがわかりづらい時は、
どうか、歯科医師や歯科衛生士にご相談ください。
虫歯にならないお口の中を目指すために、
歯科医院を使っていただければと思っています。
予防歯科について
当院の予防への取り組みは、
予防歯科のページでご紹介しています。
虫歯の成り立ちや予防について、
より詳しく知りたい方は、
日本予防歯科学会のサイトも参考になります。
※現在のご案内
現在、多くのご予約をいただいており、治療のご案内までお時間をいただいております。
このたび、検診をご希望の新患の方(痛みや外れたなどの症状がない方)の受け入れを再開いたしました。
治療をご希望の方につきましては、ご予約枠に余裕ができ次第、順次ご案内させていただきます。再開の際にはホームページにて改めてお知らせいたします。
また、再初診(以前に通院歴があり、しばらく間が空いている方)につきましては、状況に応じてご相談を承ります。
何卒ご理解のほど、よろしくお願い申し上げます。
